2019年9月12日

NS邸リフォーム● BLRリフォームギャラリーコンテスト 受賞作品 ●

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リモデルスマイル作品コンテスト入賞作品

BLRリフォームギャラリーコンテスト 優秀賞
「おじいちゃんと住まう在宅用快適トイレ空間」

■ 高齢者介護を考え抜いた、健常者との共用トイレ 

□トイレ全体

最初、90歳のお父様を介護される娘様から、お電話をいただきました。
自宅で父を看ることになったのですが、それに際して自宅のトイレを改修したいと云うことでした。
以前学校の先生をされ、校長先生もなさったお父様は、現在90歳とご高齢ですが、お元気で、日々の生活ではデイサービスを利用され、在宅中は杖を使ってですが、近所の散歩などもされ、充実した日々を送っていらっしゃいます。
そんな中、廊下から14センチほどの段差があるタイル貼りのトイレは、出入りが危険で、介助もやりにくいので、今回リフォームしたいと云うことでした。
お父様と、娘さんご夫婦3人の生活の中で、今回のトイレリフォームでいただいたご要望は、健常者も使う共用トイレと云う前提で、小便器とネオレスト(大便器)の2台設置と冬場の冷え防止設備の設置を望まれ、その上で、介護を考えたトイレの提案してほしいと云うことでした。
弊社にて現地調査を行い、長い介護経験を生かした、お施主様のご要望にも答えたリフォーム提案を行いました。
今回、介助も考えたリフォームにおいて、次の点に注視した。

・歩行および車いすを使っての介助における配慮、配置など
・流すことができる安全できれいなトイレと防水性
・体の部分的な洗浄に配慮
・歩行時の安全な移動と立位保持と便器への移乗(手摺配置)
・共用トイレとしての利用感
・心安まる素材の採用

以下に、このトイレに盛り込んだ思いの詳細を掲載いたしましす。

施工前
タイル貼りのトイレ
タイル貼りトイレ
施工後
快適介護トイレ
快適介護トイレ
□ ポイント1.流せる樹脂床トイレ

トイレは、清掃性を考慮して水などで流せるのが望ましいが、以前のようなタイル貼りでは素材的に冷たくまた滑りやすく、転倒時などの衝撃が大きく危険でした。
そこで今回、洗浄や清掃に配慮した流せる床を提供するため、ユニットバスの床のように、防水性があり、浮き床のため、転倒時の衝撃も柔らかいFRP(繊維強化プラスチック)の床を設計提案いたしました。
既存便所が、1坪ほどの広さがあり、配管スペースを配慮した大きさで、防水パンを作りました。入り口側を水上として、その反対側に排水溝を設け、入り口の廊下との段差を数センチにおさえました。
もちろん大便器(ネオレスト)は水勾配から浮かして水平に設置し、流水が廻りにくい構造にしています。
小便器も壁設置で、床との接触もありません。
周壁も、防水性に配慮してホーローパネルを採用しました。



施工後
流せる樹脂床トイレ
流せる樹脂床トイレ
□ ポイント2.システム手摺

手摺は、安全に歩行するための重要なパーツです。
その連続性は、日頃生活する部屋から始まっていますが、トイレ内においてもそれは続きます。
トイレの入り口から、小便器を利用する場合は、左側の縦手摺を介して、小便器用の手摺に移行します。
大便器の場合は、そのまま連続する手摺を伝い、便器両サイドの手摺に移行していきます。また、手洗い前の突き当たりにある手摺は、車椅子を使った場合に、立位を取る為の手摺でもあり、少し低めに設定してあります。介助者が車椅子のフットレスト部分を手洗いカウンター下部に入れたところでその手摺を使って立ってもらい、そのまま大便器へと移乗します。
もちろん、手洗い器を利用する場合は、姿勢維持の手摺として利用します。




施工後
システム手摺
システム手摺
□ ポイント3.体の部分的な洗浄

日々の生活の中で、体の一部を洗浄した方が、清拭より格段にによい場合があります。
そんな時、前述した突き当たりの手摺で立位を維持してもらい、洗浄しきれいにします。
洗浄時の排水は、立位位置より水下の排水口で排水されるので、出入り口側へ逆流しにくい配置にしてあります。
シャワーの温水洗浄は、注意が必要ですが、便器に直接吐水がかかりにくい位置に設定しています。
これによって、浴室への移動負担がなく、汚染の範囲が広がらない清潔な環境を保つことができ、気持ちのよい介護生活が送れると思います。




施工後
体の部位洗浄
体の部位洗浄
□ ポイント4.折りたたみ手摺

このトイレが健常者も利用する、共用トイレであることから、できる限り折りたたみ手摺で壁面に格納し、違和感を軽減しています。
見た目にも、すっきりとした空間にできると思います。




施工後
折りたたみ手摺
折りたたみ手摺
□ ポイント5.無垢の木の温もり

樹脂床などの採用により、全体的に無機質になりがちな空間に、無垢の桧のカウンターや天井材に桧の羽目板を用いることで、親しみのわく、和む空間になったと思います。
前述した、健常者との共用という観点からも、誰もが利用したくなるトイレ空間として、「木の温もり」が、一役買っているように思います。
また、冬場、介助しながらのトイレは長い時間になりがちです。それを考慮して、輻射型の暖房器具を、邪魔にならない壁に設置しました。




施工後
木の温もり
木の温もり
□ ポイント6.ホーローパネル

今回防水性の観点から、ユニットバスに採用されているホーローパネルを壁として採用しました。
防水性はもちろん、そのパネルの特性から、磁石でどこにでもくっつくことを利用して、タオル掛けや、設備のリモコンホルダーを自由な位置に取り付けてみました。
本来定位置にあっても良いのですが、高齢者に機器リモコンなどを触って欲しくない時などは、便利です。従って今回は、ネオレスト(大便器)のリモコンもスタンドタイプとして、自由に移動できるように配慮しています。




施工後
ホーローパネル
ホーローパネル

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■ お施主様からのご感想 ■

先日、トイレを中心にリフォームをお願いしました。
介護の経験もふまえた、老後を見すえた最高の使いやすいトイレになりました。
床はシャワー対応の特別な素材を使っているため、すぐにその場で汚れた部分を洗い流すことが出来ます。そのため慌ててお風呂に移動しなくても良いので、介護にとても役だっています。
また、夏・冬使える壁掛け空調設備があり、手洗い器のカウンターや窓台は本物のひのきの木目を生かしたおしゃれな無垢板で、手すりはつかまり立ちがどこでも出来るように工夫されているのに、上げ下げ式になっているので、使わないときに邪魔になりません。
見た目の美しさも最高で、機能性にも優れ、「このようなトイレは見たことがない」と感じ、トイレに入るたびに喜びと幸せに満ちあふれます。
何よりもリフォームによって使いやすさとここちよさが創り出され、トイレに行きたくなるくらい快適なので介護する方も介護される方も共にトイレが楽しみになりました。そして在宅で快適に過ごせる父が日に日に元気になっていく様子が伺えます。
介護経験がある設計者だからこその発想だと感じ、素晴らしい設計を手がけて下さったことに心から感謝しております。

最後に、今回のリフォームに際しまして、素晴らしいアイデア、きめ細やかな配慮、社長様の誠意に心より感謝申し上げます。

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